産業心理学（8）

職場の人間関係

二重の構造

• 組織としての公式的集団（formal group)：上司，部下，同僚，客，取引相手など
  • 私的集団（informal group 対人魅力にもとづく集団）：休み時間にあつまる，など

  →　ホーソン研究では公式的集団が私的集団の形成につながる結果。

戦略経営組織論　 http://www2s.biglobe.ne.jp/~ganko/human/human-89.htm

対人魅力

近接：空間的に近い位置にいることはつき合いの初期に重要な働きをする

態度の類似性と相補性：意見や態度が似ている他者ほど好意は強い（自分が妥当であったと安心できる）。しかし，職場においては自分にない能力をもっている人の方が好意的に受け入れられる。

身体的魅力：仕事を続けていく上では，性格，能力，価値観などの方が重視される

ルービンの好意尺度・愛情尺度

• 上段１３項目の合計点は好意度（liking）
• 下段１３得点の合計点は愛情度（love)

→’83年の調査：男子大学生の愛情得点は91.7点，好意得点は76.7点。女子大学生の愛情得点は89.2点，好意得点は83.2点

集団と個人

• 近くに誰かがいるだけで，手慣れた仕事ははかどり（社会的促進），不慣れな仕事は能率が下がる（社会的抑制）
• 協力作業で個々人の貢献度がわかりにくい場合，社会的手抜きがおこりやすい
• 職場の中では逸脱した人は同じように振る舞うよう圧力をかけられる

  人と人のやりとりはゲーム（協調か裏切りか）ともいえる　→　社会的相互作用

  囚人のジレンマゲーム：ジャンケンのグーかパーだけを使う。

  		自分
  		グー（黙秘）	パー（自白）
  相手	グー	＋２	＋５
  	パー	−４	−３

  １０回ジャンケンをする。ただし，毎回，自分と相手が何を出したかをメモして，考えてから次のジャンケンをする。

パーソナルスペース

• 職場に限らず，「他人に入られたくない」，「他人がはいってはいけない」空間がある。→パーソナルスペース
  • 面識のない場合，正面方向1.5m，横と後ろが1mぐらい（日本人男子学生）
  • 同性間の場合，年齢が上がるにつれて広くなる
  • 異性間の場合，思春期までは同性間より広いが，その後は狭くなる。
  • 外向的な人は狭い
  • 地位が高い人に対しては広い
  • 民族としては　ドイツ人＞アメリカ人＞ラテンアメリカ人・フランス人＞アラブ人
  • 身内は狭く，知り合いは広く，赤の他人は狭い

誰にでもある「パーソナル・スペース」のなぞ〜　近づくと不快な距離って何センチ - ［人間関係・人付き合いのストレス］All About
https://allabout.co.jp/gm/gc/301578/

親しい人間関係の適度な距離感…友だち・親友・恋人も - 関係・人付き合いのストレス］All About
https://allabout.co.jp/gm/gc/371259/

労働時間

労働時間と生産高

	１時間あたりの生産量	１日あたりの生産量
主に 手作業の 場合
主に 機械操作の 場合

休息の種類と効果

• 自発休息：作業者が自分の判断で取る休息
• 作業中断休息：本来の業務に集中するのをやめ，息抜きのために，簡単で決まり切ったような作業に逃げる時間
• 作業事情による休息：機械の操作や仕事の組織が原因で生じる作業の中断
• 所定休息：経営側が課した作業時間内の休息

  休息は　疲労防止，リフレッシュの機会，社会的接触の時間，技能修得（習熟）の催促　などにつながる

短時間休息の効果

Ａ：所定休息なし　Ｂ：１時間ごとに４分の所定休息

→　Ｂの方が時間あたりの生産性も高い

夜間作業者の職業的疾患

昼夜逆転　→　生体リズムの乱れ　→　睡眠不足　→　慢性疲労

神経症状や消化器系の不調などにつながる

睡眠の不足

睡眠障害には

• 入眠困難
• 中途覚醒
• 早期覚醒

などがあり， 睡眠不足による眠気などの悪影響がある。

睡眠障害の種類　http://sleepclinic.jp/

生体リズムとエラーの発生

疲労による交通事故6,052件の発生時間分布