産業心理学(10)

広告の心理学

マーケティングとは

「個人と組織の目標を満足させる交換を創造するために,アイデア,財,サービスの概念形成,価格,プロモーション,流通を計画・実行する過程」(アメリカ・マーケティング協会,1985)

マーケティング管理の要因は

  1. 消費者
  2. 統制要因:製品(product),場所(place),価格(price),販売促進(promotion)の4P
  3. 外部要因,環境要因:文化的・社会的環境,企業の資源と目的,競合企業の現状,経済的環境,政治的,法律的環境

がある。

マーケティング層の分類としては以下のものが以前より知られている(視聴者の分類などで)

性別\年代 4-12歳 13-19歳 20-34歳 35-49歳 50歳以上
女性 C層 T層 F1層 F2層 F3層
男性 M1層 M2層 M3層

広告とは

広告主の管理下で,人的手段(口コミ)によらないメディア(広告媒体)を用いて,所定の人に組織,商品,サービスの情報を伝達すること

アイドマの法則:消費者が商品を知って購入に至るまでのプロセス

    買い手 売り手
Attention:注意 認知段階 商品,サービスなどを知る
(こんなのがあるんだ)
知ってもらう
Interest:興味,関心 感情段階

興味,関心を持つ
(面白そうだ,良さそうだ)

興味,関心を持ってもらう
Desire:欲求 価値に共感する
(その値段なら買おうかな)
価値に共感してもらう
Memory:記憶 覚えている
(そういえばあれ欲しいな)
価値を忘れず連想してもらう
Action:行動 行動段階 買う,使う
買ってもらう,使ってもらう

「AIDMA(アイドマ)の法則」とは/図解で思考整理|Future CLIP/富士フイルム
(https://sp-jp.fujifilm.com/future-clip/visualization/vol31.html)

複数のメディアを用い,複数の商品(サービス)に展開するクロスメディアが当たり前になりつつある。
(右図はクロスメディア時代のAIDMAの概念図)

説得的コミュニケーション:送り手が受け手の態度(個人内のある特定の対象に対する比較的安定して持続する,評価あるいは感情) を意図する方向に形成・変化させる目的で行うコミュニケーション。広告は「消費者の銘柄に対する態度を好意的に変化させようとする説得的コミュニケーション」

コミュニケーションの信憑性(しんぴょうせい)と恐怖訴求

送り手・媒体の信憑性(どれぐらい信頼できるか?)が態度変化に影響する。コミュニケーション直後にはメッセージの内容と送り手の信憑性が関連づけられているが,時間がたつと分離,減衰する(スリーパー効果)

  情報を受けた直後は しばらくすると
信憑性が高い 態度変化が大きい 変化が減少
信憑性が低い 態度変化が小さい 変化が増加

恐怖訴求:受け手の恐怖を喚起することでコミュニケーションの説得性を高める。恐怖が高すぎると無視,極小視することもある。

精緻化見込みモデル

媒体の特性や受け手の状態により,メッセージの効果は変わる。

 

比較広告

自社の商品やサービスを競争相手と比較し,その優位性を強調する。

比較広告は注目させる力は強く,他社に与えるダメージも大きいが,自社のイメージも傷つきやすい。特に日本では受け手に「腹黒い,信用できない,悪い広告」と思われやすい。

他社製品との比較広告の事例を紹介!特徴や注意点も解説 | 「キャククル」
https://www.shopowner-support.net/customer_attraction_information/online/comparison_website/comparative-ads/

イノベーション:新しい習慣や新商品が社会に普及すること

社会的に見るとコミュニケーションは

  1. マスメディア
  2. オピニオンリーダー
  3. フォロアー

と段階をへて影響を及ぼす。イノベーションを個人が取り入れる段階としては

  1. 知識段階:イノベーションの存在を知り,いかに機能するかについていくらかの理解を得る
  2. 態度段階:イノベーションに対して好意的または非好意的な態度を形成する
  3. 決定段階:イノベーションを採用するか否かを選択する
  4. 実行段階:イノベーションを使う
  5. 確信段階:すでに行ったイノベーション決定について補強を求め,場合によっては決定をくつがえすこともある

からなる。

社会への普及の過程としては(カッコ内は採用者の割合)

  1. 革新的採用者(2.5%)
  2. 初期少数採用者(13.5%)
  3. 前期多数採用者(34%)
  4. 後期多数採用者(34%)
  5. 採用遅滞者(16%)

となる。

イノベータ理論とは - マーケティング用語 Weblio辞書:
(http://www.weblio.jp/content/イノベータ理論)

広告とインターネット

インターネット以前の広告媒体(メディア)は主に4つ(テレビ,ラジオ,新聞,雑誌) 4マス

テレビ:プッシュ型。広い対象に動画,音声を交えた広告 → 多チャンネル化。視聴人口が減。スキップ(録画媒体)も。

ラジオ:プッシュ型。やや広い対象に音声での広告 → 視聴人口が減

新聞:準プッシュ型。やや広い対象に文字,画像での広告 → 購読者が減

雑誌:準プル型。比較的狭い(絞られた)対象に文字,画像での広告

インターネット(ウェブ)広告:プル型。サイトによって違うが,絞られた対象に文字,画像,動画での広告 →精緻化見込みモデルではほとんどが中枢ルート

インターネットは広告を載せるメディアというより,従来の広告にとってかわるメディア。販売だけではなく,マーケティング全般(企画,製造など4Pすべて)に関わる。

インターネットの普及 → 個人による情報発信 → イノベーションの過程が変容

アイドマの法則から AISAS アイサス*(またはアイシーズ)の法則へ

* "アイサス"は大手広告代理店「電通」の登録商標

AIDMA(アイドマ)の法則とは?AISASとの違い・マーケティング活用例を解説 | BOXIL Magazine
https://boxil.jp/mag/a2995/

価格.com - 「買ってよかった」をすべてのひとに。:
http://kakaku.com/

 

ソーシャルメディアがマーケティングの中心にもなりつつある SIPS

「SIPS(シップス)」とは?ソーシャルメディアマーケティングラボ
http://smmlab.jp/?p=18879

マニアックな情報も簡単に手に入る → マニアックな商品需要が喚起される (ロングテール化)

ロングテール理論(@IT情報マネジメント用語辞典)
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/longtail.html

おまけ(AKB総選挙はロングテール